「推し活」とは、お気に入りのアーティスト、アイドル、キャラクター、スポーツチームなどに対して熱狂的にサポートや応援活動することを言います。「推し活」という言葉は自体は、2010年頃からの「◯○活」ブームに伴って、浸透した言葉だと言われています。それまでの「オタク」というネガティブな言葉から、「推し活」というポジティブな言葉へ変化を遂げました。2021年には、流行語大賞にもノミネートされ、今や日常会話でよく使う言葉となりました。
2023年はアニメ「推しの子」が大人気となりましたね。
「推しの子」では、小児がんで闘病している女の子がアイドルに憧れて生きる希望を見出すというシーンがありました。「推し」の存在がいかに人生に光を当ててくれるかを表現しています。
学校に行きにくい子や、悩みを抱える子どもたちの中には、こういった”推し”が居る子もとても多いです。子どもたちとのカウンセリングでも、”推し”の話は頻回に出てきます。不安なことを考えると辛いことも多いですが、自分の好きなアニメのキャラクターや、アイドルの話では目を輝かせて話してくれることがあります。大人から見ると「単なる世間話では?」と思われるかも知れませんが、少なからず劣等感を抱える子どもたちにとっては、自己表現の一つであり、自分らしさを確認出来る大切な時間なのです。
推し活が心理学的にどのような効果があるのか、今回は見ていきましょう。
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アイデンティティの形成と共感が高まる
アイデンティティとはいわゆる”自分らしさ”と言われるものです。好きなアイドルやキャラクターに関する知識やスキルを磨くことで、自分の専門知識を持つことができ、自己評価も向上します。
また、推し活を通じて、自分自身を支えてくれるコミュニティやSNS、ファン仲間を見つけ、共感とサポートを受けることもできます。「自分の好きなもの(人)を他人が認めてくれる」ことで、自己価値感を高め、精神的な安心感を得ることもできると思います。
ストレスを軽減できる
好きなアーティストやキャラクターに対する情熱的な応援活動を行うことは、非日常を味わう経験です。そのため、日常生活のプレッシャーから解放され、ストレスを軽減する作用もあります。
推し活を通じて幸せを感じたり、新しい楽しみやエンターテインメントを見つけることで、幸福感が高まることも研究によって示されているようです。推し活は、ポジティブな感情を増加させ、心の健康に寄与することがあります。
コミュニティや仲間との繋がりで孤立感が軽減
推し活で、共通のアイドルや興味を持つ仲間との交流は、社会的な孤立感を減少させます。特にSNSなどのプラットフォームを通じて、ファン同士が交流し、情報を共有し、推し活に関する対話を楽しむ中で、友情関係が芽生えることも多いです。
また、共通の趣味から恋愛関係に発展することもあるようです。どちらにせよ、心理的な孤立感や孤独感を軽減し、より豊かな関係性築く手助けとなります。
依存には注意することが必要
「推し活」の良い効果についてお話しました、ここからはデメリットについてもお話します。
「推し活」のデメリットとしては、過度に熱狂しすぎることによる「依存」です。
「依存」の最も悪い例は、アイドルに対するストーカー行為や、推し活で借金をするような行動です。
精神医学で使われる「依存症」とは、自分自身の力でコントロールできなくなる状態を言います。つまり、推し活が生活の全てになってしまったり、推しのことが頭から離れない状態が続くと、注意が必要です。
「依存症」は、脳のコントロール障害ですので、治療が必要となります。推し活は適度な範囲で楽しむこと、日常生活をきちんと送れること、これが非常に大切なことです。
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