心理カウンセラーのKuraです。オンラインで相談を受け始めて、数ヶ月経過しました。
これまで、子育ての悩み、夫婦関係、不登校などの相談がありました。これらは、今まで医療や教育分野で勤務していた際にも共通して困り事として上がる話題でした。
一方、対人関係の悩みでは、何件か「こういう人の対応に困っている」という相談があり、これらに共通していたのが、”パーソナティ障害”の可能性でした。
このようなことで困ったことはありませんか?
・文句を言ってきたり、こちらの言うことを全く聞かないお客さんの対応に困っている。
・パートナー(恋人)・家族の感情の揺れが激しく、付き合うのが疲れる。
・職場の上司から叱責、罵倒され、落ち込んでしまう。
こういったお悩みの中には、パーソナリティ障害の方が関係しているケースがあります。
この記事ではこんなことが分かります。
・パーソナリティ障害とはどういう状態?
・どういったことが起こるの?
・どう対応したら良い?
「何か付き合いにくい。もしかしたらあの人はパーソナリティ障害なのかも?」と気になる方は是非最後までお付き合いください。
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パーソナリティ障害の方は、考え方や行動の取り方が通常と異なる
パーソナリティ障害とは、ものの考え方や行動の取り方などが、普通の人と比べて著しく異なった状態になる障害です。特に、対人関係において問題が生じることが多いです。通常は、思春期を超えた頃から明らかになってきます。人格(性格)に対して”障害”と呼ぶことに対しても議論があるところです。
医者の診断として、「人格(パーソナリティ)が病む」とか人格が「障害」である、と診断するのは不適当なことだと、たびたび指摘されています。ある人の人格(性格)が「障害」されている、と言うのは、「人格否定」にもなりかねません。実際、人格障害と診断されてひどく傷ついた、という患者さんも珍しくありません。
そもそも、医学の診断とは、医学的治療の対象になるか、医療や福祉的な処遇の対象になるものに付けるべきものでしょう。しかし、こと人格障害の診断となると、そんな視点は無く、「分類のための分類」になっている様相です。たとえば、人格障害の分類の中でも、「反社会性人格障害」となると、(中略)警察や刑務所で処遇すべきものであり、一般の医療の対象から逸脱していることがおわかりになると思います。
ー水谷心療内科ーこころの総合診療医 BLOG
引用文献を読んで頂いてもお分かり頂けるように、通常の精神疾患とは定義付けもやや異なっています。
皆さんは病院を受診するとき、「のどが痛い」「熱がある」と言った、困りごとを感じ、それを解決するために病院に行きますね。パーソナリティ障害の方は、ものの考え方や行動とり方は、自分にとっては当たり前のこと、普通のことであると捉えることが多々あります。この”困った”という感覚が薄いのが、パーソナリティ障害の方の特徴の一つです。そのため、自分自身の障害を認識していない方も多く、反対に周りの方が困って受診されるケースも少なくありません。私がオンライン相談で受けたのも、正にそういった周りの方の困り感でのケースでした。
パーソナリティ障害になる要因としては、本人の持つ特性以外に、幼少期の養育環境、トラウマ体験などが考えられています。いずれにしても、何かしら人格形成に大きな影響を及ぼす体験があったのではないかと推察されますが、ハッキリとした原因は不明となっています。
パーソナリティ障害は大きく分けて3つに分類
精神医学診断マニュアルDSMーⅤによると、パーソナリティ障害には10種類あります(MSDマニュアル家庭版を参照)。大きく、A群、B群、C群の3つのグループに分類されます。各グループに含まれる種類には、基本的なパーソナリティ特性が共通していますが、それぞれの特徴もあります。ここでは概要だけの説明にとどめます。
A群:奇妙で風変わりな様子が特徴
B群:演技的、感情的、または移り気な様子が特徴
C群:不安や恐れを抱く、内向的な特徴
3つの分類の中でも、特にB群は対人関係上のトラブルが多く、感情の起伏が激しいこともあり、関わる人々が頭を悩ませてしまったり、疲弊してしまったりすることが多いです。
B群のパーソナリティ障害ではどのような考え方、行動の取り方をしていくのか、次のパートで見てみましょう。
B群のパーソナリティ障害の方への困り感
・数時間前まで、穏やかに話していたのに、態度が急変して怒鳴り散らしてくる。
・いくら丁寧に説明しても、理解してもらえない。
・「死ぬ」と言い出し、こちらが動揺してしまう。
B群の方は、感情がジェットコースターのように揺れ動きます。良い関係性の時には、相手の価値を高めたり、持ち上げるような褒め言葉を言うこともあります。反対に少しでも関係性が悪くなると、急降下し罵倒したり、蔑んだことを言ってきたりします。こういった態度を取られると、「この前はあんなに良い感じだったのに、どうして?何か自分が悪いことをしたのではないか?」と自責的に捉えてしまうこともあります。そんな態度に振り回されてしまい、自分のエネルギーをすり減らしてしまいます。
また、関係を修復しようと思って、いくら説明しても、理解する態度が見られないことがあります。パーソナリティ障害の方は、”共感性が欠けている”と言われています。「話せばきっと理解してくれるに違いない」と考えている人も多いですが、パーソナリティ障害の方にはこれが通用しないことがあります。
B群のパーソナリティ障害の方に多いのが、関係性の悪化を発端に「それならもう死ぬから」と言い放ち、周囲の人を動揺させることがあります。死を仄めかすことで、相手の気持ちを確かめようという欲求なのですが、実際に死に至る方もいらっしゃいます。センシティブな内容だけに、周囲の方が非常に困惑することが多いです。
どのように対応したら良いのか?
パーソナリティ障害の方との関係性によって、付き合い方は変わってくると思います。例えば、上の例で挙げたように、お客さんがパーソナリティ障害の方だった場合、取引を継続するべきか否かの判断も必要です。トラブルは今後も起こることを念頭に職場の中で検討すると良いでしょう。
パートナーや家族がパーソナリティ障害の方だった場合は、ある程度関係性が今後も続いていくことでしょう。また、職場にパーソナリティ障害の方がいらっしゃる場合も、関係性が継続していくことになります。関係性を続ける際に、気をつけるべきこととして以下の3つをお伝えします。
- ルールを設定する。
時間「〜時までの対応となります」、期限「◯日までの対応となります」、場所「電話のみの対応です」など明確に示し、それ以外の要求を受け入れないようにしましょう。パーソナリティ障害の方は相手が要求を受け入れてくれることによって、「この人はもっとやってくれる」と過度な期待をもってしまい、関係性を更に悪化させていく場合があります。「これ以上はやらない、出来ない」という線引きを意識しておくと良いです。 - 巻き込まれないように距離をとる。
パーソナリティ障害の方との付き合いではある時はとても良好で、急に親しく親密になったりすることもあります。特に、B群の方には他者を魅了する力のある方も多く、惹きつけられる人も少なくありません。しかし、良い関係はそう長くは続きしません。ある一定の距離感を意識することが必要です。しんどさ、辛さを感じた時は周囲に相談したりすることで、客観的、冷静に事実を振り返ることが大切です。 - 毅然とした態度で接する。
パーソナリティ障害の方は感情的に攻撃性を向けてくることがあります。そういった際に、こちらも感情的に応えてしまうと、更に攻撃性を高めてしまう可能性があります。それを避けるためにも、冷静に、毅然とした態度で接することが大切です。なかなか難しいことではありますが、関係性を続けていくためには、こちらも覚悟して臨むことが大切です。
まとめ
今回は、オンライン相談のケースでもあった、パーソナリティ障害についてお伝えしました。この内容は一般の方でも理解しやすいように構成したものです。本記事は、困っている方の対応方法をお伝えすることと、パーソナリティ障害の方を理解することを目的として書いてあります。診断ができるのは医師のみであり、勝手な憶測で判断することのないようご理解ください。
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