公認心理師は、2017年に公認心理師法が施行され、同年初めての国家試験が行われ2018年に誕生した心理職の国家資格です。
資格が始まって約5年が経過し、2023年3月で約7万人の公認心理師が登録されています。臨床心理士は35年で約4万人であり、ここ数年でかなり多くの公認心理師が誕生したことがうかがえます。
公認心理師は臨床心理士と同様、心理学の知識や技術を用いて、心理的な問題を抱える個人やグループに対して支援を行います。相談者の精神的な健康や幸福を促進するために、カウンセリングや心理療法などの手法を使用して支援します。
求められる専門行為は4つ
1.心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
2.心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
3.心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
(日本公認心理師協会H Pより)
心理学の専門知識を用いて、相談や援助を行ったり、知識の普及をすることが求められています。
養成課程大学の卒業が必須
公認心理師資格の受験には、公認心理師養成課程のある大学を卒業する必要があります。
これから大学受験を迎える方であれば、その後はAとBルートが大多数だと思います。
①Aルート:大学卒業→指定大学院を修了
②Bルート:大学卒業→プログラム施設で臨床経験2年
大学院ではカウンセリングの実習が経験できたり、大学の先生から丁寧に指導を受けることもできるので、個人的にはAルートをお勧めします。
以下は中国・四国地方の公認心理師養成課程のある、大学院を掲載しています。大学院のある大学で4年学び、同大学大学院に進むパターンも多いです。掲載している大学は、公認心理師、臨床心理士どちらの養成課程も履修できるため、資格で迷っている方は両方取得できる大学を選択すると良いでしょう。
鳥取大学大学院 | 医学系研究科 臨床心理学専攻 |
島根大学大学院 | 教育学研究科 臨床心理専攻 |
岡山大学大学院 | 社会文化科学研究科 人間社会文化専攻 研究深化プログラム 心理学講座 (臨床心理学) |
広島大学大学院 | 人間社会科学研究科 人文社会科学専攻 心理学プログラム 臨床心理学実践・研究コース |
徳島大学大学院 | 創成科学研究科 臨床心理学専攻 |
鳴門教育大学大学院 | 学校教育研究科 人間教育専攻 心理臨床コース 臨床心理学領域 |
香川大学大学院 | 医学系研究科 臨床心理学専攻 |
愛媛大学大学院 | 教育学研究科 心理発達臨床専攻 |
宇部フロンティア大学大学院 | 人間科学研究科 臨床心理学専攻 |
川崎医療福祉大学大学院 | 医療福祉学研究科 臨床心理学専攻 |
就実大学大学院 | 教育学研究科 教育学専攻学 教育臨床心理学コース |
東亜大学大学院 | 総合学術研究科 臨床心理学専攻 |
徳島文理大学大学院 | 人間生活学研究科 心理学専攻 |
ノートルダム清心女子大学大学院 | 人間生活学研究科 人間発達学専攻 臨床心理学コース |
比治山大学大学院 | 現代文化研究科 臨床心理学専攻 |
広島修道大学大学院 | 人文科学研究科 心理学専攻 臨床心理学領域 |
広島国際大学大学院 | 心理科学研究科 実践臨床心理学専攻 |
安田女子大学大学院 | 文学研究科 教育学専攻 臨床心理学コース |
資格試験は年に1回のみ
資格試験は年に1回しか行われません。そのため、多くの方は仕事をしながら受験勉強をすることになります。例年3月頃に、東京or大阪会場にて、筆記試験が行われます。受験者数は過去5年で、2,000人〜3万人と年度によって異なります。
公認心理師として業務を行うために必要な基本的知識及び技能を具体的な項目で示したもの(ブループリント)が毎年公表され、この基準に拠って出題されます。
合格率は平均60%程度
公認心理師の合格率は過去6年分、平均すると約60%程度でした。年度によって変動しているのは、2018年に出来たばかりの新しい資格である影響が強いです。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年 | 35,020人 | 27,876人 | 79.6% |
2019年 | 16,948人 | 7,864人 | 46.4% |
2020年 | 13,629人 | 7,282人 | 53.4% |
2021年 | 21,055人 | 12,329人 | 58.6% |
2022年 | 33,296人 | 16,084人 | 48.3% |
2023年 | 2,020人 | 1,491人 | 73.8% |
2024年 | 2,089人 | 1,592人 | 76.2% |
資格試験初年度2018年は、経過措置として合格率は高めに設定されてていました。その後、経過措置Gルートのラストイヤー2022年で受験者数が急増しています。そして、2023年には受験者は約2,000人となっており、臨床心理士の受験者数とほぼ同数に落ち着いています。今後は2,000人前後で安定してくるのではないかと考えられています。
受験者数が安定してくるにつれて、合格率も安定してくることが予想されます。約70%の合格率は、臨床心理士よりやや高い数字となっています。
公認心理師は7万人、臨床心理士は4万人
公認心理師と臨床心理士のダブルライセンスを持つ心理職も多いです。臨床心理士の全員が公認心理士を取得していたと仮定すると、
7万人ー4万人=3万人
約3万人は公認心理師の資格だけを持った方とも言えます。私の周りでも、社会福祉士、看護師、教員などの経歴を持った方が公認心理師資格をもって活動をされています。資格試験に合格し、知識を身につけた専門家ではありますが、一方で心理職としての実務経験に欠けている場合があり、臨床心理士と同じく、自己研鑽に励む姿勢が大切だと思います。臨床心理士と違い、更新制度はありませんが、研修会や勉強会に参加し、日頃から学びを深めていくことが重要です。
臨床心理士についてはこちらの記事で詳しく書いています。
働くのは、医療、教育、福祉、産業と幅広い
公認心理師が働く場所としては
・病院(精神科、心療内科、小児科、児童思春期科など)
・教育(小・中・高スクールカウンセラー、大学相談室など)
・福祉(児童相談所、子育て支援、家庭裁判所など)
・産業(企業カウンセラー、産業カウンセラーなど)
メンタルヘルスは誰にとっても大切なことであり、そのため働く場所は多岐に渡っています。
心理師と心理士の違いは名称独占
心理”師”と心理”士” この違いに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公認心理師は名称を独占する国家資格であり、適正な業務を保つために、民間資格で多く使用されている「心理士」と区別がされています。公認心理師法第44条で、公認心理師でない者は「公認心理師」又は「心理師」という文字を使用してはならないことになっています。
医療においては、現在では公認心理師のみが保険点数を取れるようになっており、医療分野で心理職として働きたい方には必須資格です。
くらしま心の相談室では公認心理師がカウンセリングを担当
くらしま心の相談室では公認心理師と臨床心理士の両方持ったカウンセラーがカウンセリングを担当します。安心してご利用ください。
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