【現役心理士が語る】臨床心理士になるには?

心理系コラム

臨床心理士とは、1988年にスタートした民間の資格ですが、医療、教育、福祉など多方面で心理職の専門的な資格として知られています。

資格が始まって、35年が経過し、2023年4月で約4万人の臨床心理士が認定されています。

臨床心理士とは、心理学の知識や技術を用いて、心理的な問題を抱える個人やグループに対して支援を行う専門家です。相談者の精神的な健康や幸福を促進するために、カウンセリングや心理療法などの手法を使用して支援します。

求められる専門行為は4つ

  1. 種々の心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定に精通していること。
  2. 一定の水準で臨床心理学的にかかわる面接援助技法を適用して、その的確な対応・処置能力を持っていること。
  3. 地域の心の健康活動にかかわる人的援助システムのコーディネーティングやコンサルテーションにかかわる能力を保持していること。
  4. 自らの援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査とその発表等についての資質の涵養が要請されること。 
                               (臨床心理士資格認定協会より)

とされています。文章で読むと難しい印象ですが、心理学の専門知識を身につけて、それを用いて人々の役に立つことが求められるということです。

4年生大学卒業→指定大学院修了が必須

臨床心理士資格の受験には、臨床心理士協会が認可した指定大学院を卒業する必要があります。

大学院には第1種大学院と第2種大学院と専門職大学院の3タイプがあります。

そのうち、第2種大学院は卒業後に1年以上の実習経験が必要となっています。
そのため、これから臨床心理士になろうと思う方は第1種大学院と専門職大学院をお勧めします。

以下は、中国・四国地方の第1種大学院を掲載しています。

大学院名研究科名・専攻名
広島大学大学院人間社会科学研究科 人文社会科学専攻
鳥取大学大学院医学系研究科 臨床心理学専攻
岡山大学大学院社会文化科学研究科 人間社会文化専攻 心理学学位プログラム 心理学講座
山口大学大学院教育学研究科 学校臨床心理学専攻
島根大学大学院教育学研究科 臨床心理専攻
愛媛大学大学院教育学研究科 心理発達臨床専攻
香川大学大学院医学系研究科 臨床心理学専攻
徳島大学大学院創成科学研究科 臨床心理学専攻
鳴門教育大学大学院学校教育研究科 人間教育専攻
国立大学 臨床心理士養成課程第1種大学院
大学院名研究科名・専攻名
[専門職] 広島国際大学大学院心理科学研究科 実践臨床心理学専攻
比治山大学大学院現代文化研究科 臨床心理学専攻
広島修道大学大学院人文科学研究科 心理学専攻
安田女子大学大学院文学研究科 教育学専攻
ノートルダム清心女子大学大学院人間生活学研究科 人間発達学専攻
川崎医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 臨床心理学専攻
就実大学大学院教育学研究科 教育学専攻
宇部フロンティア大学大学院人間科学研究科 臨床心理学専攻
東亜大学大学院総合学術研究科 臨床心理学専攻
徳島文理大学大学院人間生活学研究科 心理学専攻
私立大学 臨床心理士養成課程大学院

資格試験は年に1回のみ

資格試験は年に1回のみしか行われません。そのため、多く方は大学院を卒業後、臨床心理士の資格取得見込みとして、心理職で仕事をしながら受験勉強をすることになります。一次試験(筆記試験)と二次試験(口述面接試験)があり、例年10月から12月にかけて東京で実施され、毎年約2万人が受験しています。

合格率は約65%程度

臨床心理士の合格率は約65%程度で、ここ数年を見ても合格率は横ばいであまり変わりません。6割が合格出来るように問題を準備していることがうかがえます。

受験年度受験者数合格者数合格率
R1(2019)2,1331,337 62.7
R2(2020)1,7891,148 64.2
R3(2021)1,8041,179 65.4
R4(2022)1,8101,173 64.8
臨床心理士資格認定協会HPより

2018年に公認心理師(国家資格)が誕生し、臨床心理士の受験者数はやや低下しましたが、その後は1800人前後となっています。臨床心理士は公認心理師の上位資格と言われることもあり、一定の方はタブルライセンスを取得する傾向にあると考えられます。筆者も臨床心理士と公認心理師の両方の資格を取得しました。

公認心理師についてはこちらの記事で詳しく書いています。

【現役心理師が語る】公認心理師になるには?
公認心理師とは2018年に誕生した、心の専門家の国家資格です。心理学的な専門知識を用いて、相談者を支援します。公認心理師になるには、養成課程のある大学を卒業し、大学院に進むか、臨床経験を2年積むことで、受験資格を得ることが出来ます。試験は年に1回のみで、合格率は60%です。更新制度はないが、自己研鑽は必要。

資格取得後、5年ごとの更新が必要

臨床心理士は業務について心理臨床能力の向上や、研鑽に邁進するために、5年ごとの資格更新制度が定められています。各地で行われる学会に出席したり、研修会や論文執筆で自己研鑽に努めることが求められます。5年間で指定した研修を受けられなかった場合は、資格を停止されてしまう場合があります。そのため、勉強が苦手な方には不向きな職業だと言えます。反対に、向上心がある方にはとても向いている職業です。

2009年に教員免許にも更新制度が導入されましたが、2022年に廃止されました。途中から導入された制度で教員に根付かなかったのだと思います。

一方で、臨床心理士の更新制度は初めから根付いています。私自身も、大学院の頃から学会、研修会や勉強会に日常的に参加しており、資格取得後もその延長線で学びを続けています。”目には見えない心”を扱う分野であり、様々な知見を得て、相談者の方と向き合うことが大切だと考えています。

働くのは医療、教育、福祉、産業など幅広い

臨床心理士が働く場所としては

・病院(精神科、心療内科、小児科、児童思春期科など)

・教育(小・中・高スクールカウンセラー、大学相談室など)

・福祉(児童相談所、子育て支援、家庭裁判所など)

・産業(企業カウンセラー、産業カウンセラーなど)

メンタルヘルスは誰にとっても大切なことであり、そのため働く場所は多岐に渡っています。

くらしま心の相談室では臨床心理士がカウンセリング担当

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