不登校のお子さんを持つ親御さんから多いのが、「病院に行かせた方が良いですか?」という質問です。小児科や児童精神科も少しずつ知られるようになり、子どもたちにも心のケアが大切であるという認識も拡がりを見せていると思います。
このような心配のある方に対して、不登校の子どもが医療受診を考える上で、5つの見極めポイントをお話ししていきます。
この記事ではこんなことが分かります。
不登校の子どもが医療受診するには5つのポイントをチェックする。
①身体の症状
②精神的な症状
③日常生活の変化
④学習面の変化
⑤その他行動の変化
5つのポイントから考え、医療受診する際は予約や距離など考慮した上で病院を選びましょう。
動画の方が見やすい方はこちらからご覧ください。
身体の症状はないか?
子どもが「学校を休みたい」と言った時、まず一番に身体の心配が上がります。風邪のように微熱や頭痛が続くこともあります。
「だるくて朝起きることができない」と倦怠感を訴える子の中には、起立性調節障害と診断されるケースもありますし、下痢が続く子の中には、過敏性腸症候群と診断される場合もあります。症状が1〜2週間以上続く場合には、医療機関を受診することがお勧めです。
何かしらの病気と判断された際は、適切な治療を受けることが大切です。薬物治療だけでなく、生活習慣の改善など、適切な治療を受けることで症状が緩和する可能性も高いのです。
「ストレスが身体の症状として反応して出ているだけでは?」という疑問を持つ方もおられると思います。上記の起立性調節障害や過敏性腸症候群もストレスが原因になっているとも言われています。もちろん、根本となるストレス対処も考えていく必要はありますが、まずは身体症状の改善が最優先です。頭がクラクラしたり、お腹が痛い状態のまま、ストレスと向き合うことは難しいです。身体症状が緩和してきたところで、次はストレス対処について考えていくと言う順番が良いでしょう。
精神的な症状はないか?
身体症状と同じく、精神的な症状がないか、これも非常に大事なポイントです。精神的な症状と言っても幅広いので、具体的な項目として挙げてみます。
・気持ちの落ち込み
・何に対しても面白くない
・気持ちが落ち着かない
・イライラする
・急に涙が出る
・考えがまとまらない
・不安で仕方ない など
これらの症状が2週間以上続くようであれば、医療受診をお勧めします。精神症状に加えて、「眠れない」「ご飯が食べれない」などもあれば、不眠症、うつ病、摂食障害などの可能性も出てきます。治療に関しては、子どもの年齢や体の変化を慎重に考慮した上、進めていくことが必要になってきます。薬物治療だけではなく、カウンセリングを併用される場合も多いです。
日常生活の変化はないか?
子どもが学校に行きたくないと言った時、日常生活で変化が起っている場合があります。例えば、学校でいじめがあったり、友人関係でトラブルがあったりすると、不登校の原因になることがあります。また家庭内においても、両親の不仲、きょうだい間の葛藤などが不登校の原因の一つになることがあります。
日常生活の変化で学校を行きにくくなっている場合は、すぐに医療受診ということではなく、環境調整が必要です。友達間のトラブルであれば、双方の意見を聞いたり、先生に介入してもらうなど具体的に動くことで、問題解決を図れる場合もあります。気持ちを整理するために、学校や相談機関でカウンセリングを利用するのも良いでしょう。
学習面の変化はないか?
不登校になる前後で、急に勉強をしなくなったり、テストの点数が急降下する子もいます。精神症状や身体症状があり、集中力が欠如している場合も考えられます。一方的に責め立てることはせず、子どもを取り巻く状況を確認しましょう。
知的な能力にバラつきがあることで、授業についていけず、「学校に行きたくない」と感じてしまう子もいます。その中には、発達障害やそのグレーゾーンと思われる子達も存在します。一般に、小学校3、4年生以降、思考力や抽象力が問われるような学習で困難さを抱えやすいと言われています。
こういった学習面の課題から学校へ行きにくい場合は、まず学校の先生に相談すると良いです。その後必要があれば知能検査を実施したり、通級指導を利用する等して、学習面をフォローしていくことで「学校への行きにくさ」を緩和していくことにつながります。
まずは学校に相談し、検査や診断が必要になった際に医療受診を検討する流れで良いでしょう。
その他、行動の変化はないか?
不登校の子どもたちでは、社交的な活動が減少したり、問題行動が増えたりする場合もあります。このような場合は、学校への相談に加え、児童相談所で相談するのも一つの方法です。その上で医療受診を勧められたら、受診を検討していくと良いです。問題行動が起こる場合、子ども自身の課題、家族の課題など、慎重に向き合う必要があるケースも多いです。そういった際、学校や児童相談所など第三者を交え、話をすると円滑に進むこともあります。
最近はスマホやゲームをやり過ぎて昼夜逆転、日常生活リズムが乱れてしまう子たちもよく見聞きします。”スマホ依存”や”ゲーム依存”という場合は医療受診がお勧めです。どういう状態が依存なのか?についてはこちらの記事で詳しく書いています。
子どもは未熟で未発達であるが故、自らコントロールをつけることが難しいです。適度な距離を保つ方法はある程度教えていく、学んでいく必要があると思います。
医療受診にはいくつか選択肢がある
ひとくくりに医療受診と言ってもいくつかの選択肢があります。
①小児科クリニック
→予約が比較的早くとれて、すぐに受診に繋がりやすいです。かかりつけの小児科の先生と相性が良いのであれば、まずそちらで相談されるのも良いと思います。
②児童精神科、思春期専門クリニック
→子どもの心について専門的な知識を持つ医師が対応しており、心理士がいることも多いです。検査が必要な場合はこういった専門のクリニックがおすすめです。ただ小児科クリニックよりは少数のため、予約に時間を要したり、お住まいの地域によっては遠方まで通う必要もあります。継続的に通うことが可能か否か、事前に確認しておくことが良いでしょう。
③大学病院や総合病院の小児科、児童精神科
→専門的な知識をもつ医師が対応しており、こちらも心理士がいることが多いです。しかし、紹介状が必要な場合が多くあります。まずはかかりつけのクリニックを受診し、紹介状をもらった上で受診しましょう。通院時間や待ち時間なども考慮した上で受診すると良いです。
どちらを受診するにも、子どもの気持ちが非常に大切です。私はカウンセリングを始める時に、<ここへ来ることについてどう聞いていますか?>と、来談経緯を聞きます。それは、子どもの意思を確認する上で欠かせない視点です。子ども自身が受診に協力的でない場合、何事もいい方向には進みません。親や周りの大人が無理やり受診させることはせず、子どもの気持ちを聞き取った上で受診することが必要です。
くらしま心の相談室では、医療機関で子どものカウンセリング経験があるカウンセラーがお話をお聞きします。子どもの不登校のご相談、親の相談、子ども自身の相談にも対応しております。お気軽にお問い合わせください。
子どもたちのカウンセリングについてはこちらのブログをご参照ください。
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